はじめに
我が家は2020年1月に生後7日の娘を特別養子縁組を通して迎えました。
- 2019年9月:民間あっせん団体の養親研修を受講
- 2019年11月:書類審査
- 2019年12月:民間団体による家庭訪問
- 2020年1月上旬:待機家庭(いつ子どもの委託の相談が来てもおかしくない状態)登録
- 2020年1月中旬:生後7日の娘を迎える
養親研修受講から受託まで約5か月。
当時、僕も妻もフルタイムで働いていました。
特別養子縁組の「待機家庭」になったら、いつ委託の相談がくるかわからない。
仕事をしている場合、
それは急遽職場を離れる可能性があることを意味します。
特に妻の場合は、
- お腹が大きくなるなど妊娠の気配がない
- 産休を吹っ飛ばして急遽育休に入る
こういった状況のなかで、色々と職場での事前調整をしてくれていたと聞きました。
そこで今回は、妻がそういったイレギュラーな状況に向けてどうやって事前準備していたかについて書きたいと思います。
我が家の場合、僕は育休を取りませんでしたが、育休取得予定のお父さんにも参考になる情報だと思います。
特別養子縁組に興味がある方、これから特別養子縁組でお子さんを迎えることが決まっている方にとって有益な情報になれば幸いです。
妻が会社でしていた事前準備
前提として、妻は事業会社のバックオフィスに勤めていました。
当時は、主任としてプロジェクトや後輩指導などのタスクが割り振られ、それ相応のアウトプットが求められる立場だったそうです。
上司への説明
養親研修を受け始めたタイミング(2019年9月)で、上司に次の内容を説明しました。
- 養子縁組を検討しているという事実
- 養子を迎えることになった場合の具体的なスケジュール
特に、2.養子を迎えることになった場合の具体的なスケジュールについては、
民間団体に確認したうえで、だいたい半年後に待機家庭になる予定であることを伝えました。
そして、ここからがもっとも重要なのですが、
待機家庭になった後、いつ来るかは分からないが、委託の相談があった翌日から育休に入る可能性があることを繰り返し伝えました。
これを伝えることで、今後の仕事の割り振りを考慮してほしい旨お願いしました。
人事部門への説明
上記の上司にしていた説明に加えて、次の内容を質問しました。
- 特別養子縁組というイレギュラーでの育休取得のためこちら側での特別な対応はあるか?
- いまから早めに進めておける手続きはあるか?
結局、質問段階でこちら側でできる手続きや対応はありませんでした。
後日、人事部門の担当者から「前例がないことだから、こうやって早めに教えてもらえると助かります!」と言ってもらえました。
同僚への説明
待機家庭の手続きの最終タイミング(2019年12月)に同じチームの同僚2人に対して、次のことを伝えました。
- 特別養子縁組で子どもを迎えることを検討しているという事実
- 近い将来に自分がいつ抜けるかわからない状況が訪れること
そのほか、妻の会社では、産休・育休や退職前に事業部全体にメールを送る慣習があったので、そのメールにおいても「特別養子縁組で子どもを迎えること」を伝えました。
おまけ:夫が会社でしていた事前準備
前提として、僕も事業会社のバックオフィスに勤めていました。(妻とは別の会社)
妻と同じような内容を仕事の関係性に合わせて濃淡つけて説明していました。
- 特別養子縁組で子どもを迎える予定だということ
- 特別養子縁組とはどんな制度か
- 仕事にどんな影響があるか
ただ1点異なるのは、娘を僕の扶養に入れることを想定していたので、人事部門に会社の制度上の確認をしっかりとおこなっていました。
人事部門への会社の制度上の確認
バックオフィスにいたので人事部門は同じフロアにありました。
採用面接時から付き合いのある人事部門のマネージャーに次のような質問をしました。
✔ 妻は産まないけど、出産休暇として扱ってもらえるか?
僕の勤めていた会社には「配偶者出産休暇」という制度がありました。
配偶者の出産前後3日間、休暇をとっていいというものです。
今回は厳密に言うと、妻は産まない訳です。
特別養子縁組でいうと、出産日に当たるものが、子どもを迎えに行く日。
「子どもを迎えに行く日を、通常の有給消化ではなく、『配偶者出産休暇』として認めてもらえるか?」を確認しました。
当日はいったん持ち帰りでしたが、部長や担当役員とも相談をしてくれて、
結果として、認めてもらうことができました。
✔ 監護期間中に社保の扶養に入れることができるか?
「監護期間中」とは、
子どもの養育が始まってから家庭裁判所が特別養子縁組の成立を決定するまでの期間を指します。
この特別養子縁組の成立をもって戸籍も実親から養親にうつります。
つまり、「特別養子縁組を前提に、戸籍上は親子でない子と同居し養育している(=監護期間中)が、その子を社保の扶養に入れることができるか?」ということになります。
人事部門のマネージャーの回答は、
「健康保険組合に確認してほしい」というものでした。
「健康保険組合がOKであれば会社としては問題ない」とのこと。
健康保険組合に確認しました。(ちなみに協会けんぽではなく、同業が集まった健康保険組合でした)
結論としては、「問題ない」とのこと。
正直、他社事例を事前に調べていて、戸籍に入っていない状況で社保扶養に入れることは厳しいと思っていました。
なぜなら、ネット上で手に入る大企業の健康保険組合の規約やQ&Aのなかで、「特別養子縁組の監護期間中は社保扶養に入れられない」ことを明記しているものを多く目にしていたからでした。
なので「問題ない」という回答をもらった時には、湧き上がってくる嬉しさと同時に驚きもありました。
30秒の保留後に、「同居されているんであれば問題ないですよ」と言っていただけました。(前例があったのかな?)
社保の扶養に入れないと、「国民健康保険」に入る必要が出てきます。
自営業や個人事業主の方はご存知だと思いますが、国民健康保険には「扶養」という概念がなく、たとえ赤ちゃんであっても保険料を払って加入する必要が出てきます。(病院受診料自体は市区町村の子どもの医療費助成制度によりかからないことが多い)
この「監護期間に会社の扶養に入れられない問題」については、下記のHUFFPOSTの記事に詳しいのでご興味ある方はご確認ください。
⇒「子どもを扶養にできない期間をなくして」特別養子縁組の親が、制度改善を訴える(外部リンク)
✔ 監護期間中に扶養手当の対象となるか?
僕の勤めていた会社には「扶養手当」という制度がありました。
子どもの扶養者数に応じて手当が出るというものです。
こちらに関しても人事部門のマネージャーに確認しました。
「戸籍上は親子でない(=監護期間中)子に対して、扶養手当を支給してもらえるか?」
回答は「健康保険組合の扶養に準ずる」というもの。
そのため、監護期間中から「子ども」として認めてもらい、扶養手当を受け取ることができました!
おわりに
もちろんケースバイケースで「これが正解!」とは言えないのが正直なところです。
ですが、ひとつ確かなことは、「子どもの委託の相談から実際に子どもを迎えるまでにはとにかく時間がない!」ということ。
「ついにうちに子どもが来るんだ・・・」という地に足のつかないフワフワした感覚のまま育児用品を準備したり、交通手段を手配したりと”やるべきこと”がたくさんあります。(その忙しさも、子どもに会えることを思うと幸せではありますが)
そのため、職場で事前にできること(所属部署や育休対応部署とのコミュニケーションや会社の制度の確認)は早め早めに準備しておくとスムーズかと思います!
特別養子縁組にご興味を持っている皆さまのお役に立てていればこれ以上嬉しいことはありません。
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